肝がんの治療法「肝移植」
病気の治療で「移植」と聞くと、心臓病を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。移植という治療方法は、肝がんにも適用されているもので「肝移植」と呼ばれています。肝移植という方法は、肝臓を必要としている患者さんに、別の人の肝臓を移植するという手術です。
その方法には、脳死状態の人から肝臓を移植する肝移植と、肝臓の一部を提供してもらい移植する「生体肝移植」があります。
肝がん患者が脳死状態の人から肝臓を譲り受ける肝移植は、日本の法律ではきちんと認められているものなのですが、提供する側のドナーとなってくれる人がなかなか見つからないということもあって、あまり一般的に行われている手術ではありません。
その一方、生体肝移植は移植後の副作用が少ないと言われ、家族や近親者などの協力があれば行える手術なので、肝移植としてはこの移植方法が中心に行われています。
生体肝移植は、肝臓にできたがんが少ないものの、肝臓自体の機能が良好でない場合にとても有効となる方法で、肝がん患者が移植を受ける場合には次のような場合に適すると言われています。
条件としては次のようになります。
・がんが5cm以下で1つ、または3cm以下で3つ以下であること
・肝臓の機能が常におもわしくない状態にあること
・肝臓の機能障害は低いが、がんを頻繁に繰り返していること
ただし、肝臓を提供するドナーの肝臓が移植の提供として適切かを検査してから判断することになりますので、肝がん患者の家族や近親者だからといって必ず提供できるとは限らないということを覚えておきましょう。